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昔のお母さんとお父さんの仲はよくなかった。 毎日ケンカしてた。 それが日常だった。 だから、いきなり海に出かけようと父親に言われたのはびっくりした。 何が起きるかわからなかったから……。 いつのまにか車に乗って、家からどんどん遠ざかって、海さえも過ぎて、どこに着くかわからなかった。 そして、よく知らない一軒家の前で、新しいお家だと言われた。 その後、よくわからないまま暮らしてきた。 今では私の居場所なんかなくて、義母と腹違いの妹がこの家の全ての実権を握ってる。 父親は仕事に逃げて、私を見知らぬ環境や人から支えてくれる素振りなんて見せなかった。 たくさんの魔の手が自分の体を這い寄って蝕む。 だから、私は見つからないように押入れの奥で身を潜める。
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