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「君がその、コウタくんだというのかな?」 「そうだよ」 少年だ。 少年の姿のままだ。 私の娘が亡くなったのは五年前。 溺死で自殺だという。 妻と末の娘に聞いたところ、体罰や恐喝をしていたと言った。 学校でも、銀髪の髪を切り刻んで燃やしたと一人の生徒が言っていた。 なんでもっと娘を見てやれなかったのだろう。 今さらすぎる後悔。 その後悔から遺品整理をすると、日記が出てきた。 辛い毎日の中にあった光。 コウタくん。 その少年にせめてものお礼を言いに行こうと思った。 そしたら、 「坂本結由という銀髪の女の子を知っているかな?」 「ん?ああ、あの感情ない子か。」 「感情が、ない?」 「おにーさん。なんで僕が五年経っても少年の姿のままかわかる?」 「何か病気かな?」 「ぶっぶー。僕は妖狐。もう三百年近く生きてるかなぁ。」 「三百年…」 「人様にはたどり着けないでしょ。でも、僕なら可能なんだよ。」 「む、娘はあなたが光だと……言っていて……」 「あの子?そうなんだ〜。」 全く興味はなさそうだった。 友達じゃないのか。 どうしてそんなにあっさりしてる。 死んだ友達の話を、しているのに……。
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