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「どうしてそんなにもあっさりしてられるんだ!」
「えっ、だって、あの子面白くないもん」
「面白くない?」
「どんなことしても心がちっとも動かない。ちょびっとしか動かないもん。」
「君は、妖狐と言ったね……」
「そだよ」
「何を目的に動いてるんだ?」
「えっ?うーん、面白いこと?」
「娘に近づいた理由は……」
「汚らわしくなかったから、かなぁ」
「汚らわしくなかった、とは?」
「魂が汚れてないのって、見てるとうっとうしいから汚くしよーと思って」
「娘はどうなったんだ……」
「あいかわらずきれいのまま。つまんないから、お願い事だけ叶えてあげた。」
「願い事……?」
「あの子はずーっと誰かと一緒に死にたいって望んでたから、僕が僕の手で海の底に沈めてあげた。一人で冥界に行ったんだろーね。」
「貴様がっ‼︎」
「はい、ストーップ」
「おにーさんにも非はあるよね?」
「……」
「なんなら僕が同じところに送ってあげようか?」
「いい……」
「いいじゃん。大好きなんでしょ?」
「お前はなんで娘を殺したんだ……」
「もちろんその子が望んだから」
「望んだから殺していいのかっ‼︎」
「遺された君たちがそう騒いでも黄泉の死者には聞こえない。現世と黄泉に行ったことのある僕が言えば、わかるよね?」
「貴様……」
「ただーし、一つだけ僕にできることがあるよ」
「なんだ」
「現世と黄泉を繋ぐ扉、それを作るために僕に捧げ物を毎日すること」
「そしたら、娘に会えるのか?」
「まあね」
「わかった!毎日持ってくる!何が好きなのか?」
「みたらしだんごー!」
「わかった」
私はその古びた祠から離れていった。
そして、何段もの階段を降りて、今は一人暮らしの家へ帰っていった。
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