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「四人目はね」  日菜乃は飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになる。 「ま、まだいるの?」 「この四ヶ月出会った人数は十五人。その中でどうしても聞いてほしい五人を選んでみた」 「なるほど……全員だったら大変だけど、選りすぐりのメンバーならちゃんと聞かないとだね」 「じゃあ四人目ね。一つ年下の公務員の人だったんだけど、背が高いし、なかなかのイケメンだし、いいかなぁって思ったわけ。ただちょっと気になったのが、無趣味」 「趣味の欄が空白ってこと?」 「そう。もういい歳なんだし、一個くらい考えて入れろよって思ったんだけど、まぁイケメンだし」 「顔に負けたんだ」 「その通り。でも案の定だった」 「無趣味だから、会話が続かないとか?」 「逆。私の趣味に食いついて来て、『一緒に映画行きましょうよ』とか、『運転出来るんですか? 連れて行ってくださいよー』とか。『僕って気が弱いし人見知りだし。だからあなたみたいな人がいてくれたら助かる』って。とにかく依存ばっかり。私はあんたの母でも姉でもお抱えメイドでもないんだよ! と言いたいのを我慢したわ」  優奈の息つく暇もないほどのマシンガントークに、日菜乃も圧倒されて、息をするのを忘れてしまった。 「確かにねぇ。頼りたいのに、頼られてばかりだと、一生面倒をみる未来しか想像出来ないよ」 「"男らしく"なんて言わないから、せめて持ちつ持たれつの関係じゃないとね」 「うんうん、よくわかるよ。で帰ったの?」 「『次はいつにしましょう?』って言われたから、『家に帰らないと予定がわからないんです』って言ってスルーした」  飲み物を半分ほど残したところで、二人の前にデザートが届く。日菜乃はティラミス、優奈はミルクのジェラート。苦い話をした後の一口は、いつもよりも甘く感じた。
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