第9話「第四の事件」

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数年前の夏の事だ。プレイヤー名「竹内萌音」が使っていた「アバター」…「ルピシア・ローズ」がゲーム世界でとあるプレイヤーと戦ったのを最後にして消息を経った。彼女と親交のあった何人かのプレイヤーが警察に相談したが当初はまるで相手にされず事件性無しで「処理」されていた。 所が…とある「民家」の1室で女性の「変死体」が「発見」された事でこの一件は世間に注目される事になる。警察の入念な捜査の結果「被害者」の「名前」は「竹内萌音」であるという事がわかった。 遺体発見現場となった部屋には外部から何者かが侵入した形跡は無く…自殺を疑わせる様な痕跡も見当たらなかった。 また彼女は死ぬ間際にとあるゲームをプレイしていた事がわかりその時にゲーム世界で彼女が使っていたアカウントこそが「ルピシア・ローズ」だったという訳である。警察は当初「ゲーム」と「事件」は関係の無いものとして「捜査」を進めた。だがその事が…返って警察の目を曇らせる要因を作り事件の謎をより一層深いものにしたのである。 それから長い期間をかけて地道な捜査を続けた結果この1件にもキラークラウンの影がちらついてるとわかったのは事件が発生してから数年後の事だったとされている。 そして彼女が死亡した時にゲーム世界で最後に接触していたのは「ネルサン・エリス」というアバターであり…ようやくここで「本星」とも思える「容疑者」が出てきた事で…事件は解決するかに思えた。だが…そのネルサン・エリスのアカウントを保有していた「人物」は「既」に現実世界で「死亡」しているという事がわかり…事件は暗礁に乗り上げた。という訳である。 一見するとベルゼには関係の無さそうな事件だが…ネルサンのアバターこそが今回のタネである。竹内萌音に直接手を下したとされるネルサン・エリスは…ベルゼの親友が死ぬ間際に使っていたアカウントであり…初期時代のハネネズミの創設メンバーの1人だったのである。
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