行くべきか、行かざるべきか考えよう

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「行くよっ!」  太陽の馬車は蒼穹(そら)に向かって飛翔(かけ)て行った。夜の闇に包まれた地上が太陽の馬車によって光に照らされていく…… 夜明けを迎え、朝が訪れた。それを(おこな)ったのは少年パエトン。 「俺が地上に朝を迎えさせたんだ! 凄いだろ! 俺は太陽神だ! 太陽神パエトンだ!」 すっかり気が大きくなったパエトン。朝が終わり昼を迎えた頃、自分が暮らす村の近くに来ていることに気がついた。 「凄い凄い! 行きは何日も歩いたのに、もう俺の村に着いたぞ! 流石は太陽の馬車! 凄く速い!」 パエトンが太陽の馬車の速さに興奮していると、階下に子供達が遊んでいる姿が見えた。 エパポスとその友人達である。 よし、あいつらにこの太陽の馬車を見せつけてやろう。パエトンは「おーい!」とエパポス達に声をかけた。 しかし、エパポス達は気がつくことなく遊びに夢中になっていた。太陽の馬車の軌道は高く遠いため、地上にパエトンの声が聞こえないのである。 パエトンは太陽神ヘリオスの子である証拠として太陽の馬車を借りることに成功した。 だが、誰かが見ていなければ意味がない。後日、村に戻りこの体験を話したところでまた嘘つき呼ばわりだ。 直接、見せつけてやろう。パエトンは手綱を引き、エパポス達の前に向かおうとした。しかし、太陽神ヘリオスからは「余計なことはするな」と言われている。  パエトンは思いつきで「あいつらを見返さなきゃ、太陽の馬車を借りた意味がない!」と考えた。 「そうだ、あいつらの元へ行こう」 パエトンは手綱を引き、地表へと進路を変えた。四頭の馬達は太陽神ヘリオスに「馬なりに走れ」と指示こそ受けているものの、御者の命令は絶対。地表に向かうのであった。 エパポス達は「そう言えば、最近パエトン見ないねぇ」と話をしていた。 友人のうちの一人が「嘘つきっていじめ過ぎたかなぁ」と反省をしていると、急に気温が暑くなったことに気がついた。それに異常なまでに眩しいことに気がつき、天を仰ぐと、そこにあったのは太陽の馬車! その御者席にはパエトンの姿があった。  エパポス達は太陽の馬車に乗るパエトンの姿を見て「パエトンは本当に太陽神ヘリオスの息子だった!」と、信じて謝罪に至った。 「すまん!」 「許してくれ!」 「疑ってごめん!」 謝る奴らを見下すのは実に気分がいい。もう十分謝って貰ったことだし、あいつらも太陽の馬車に乗せてやろう。きっとビックリするだろうし、俺に対しても「太陽神ヘリオスの子」として一目置くようになるだろう。 そうだな、後から母さんを乗せて一緒に地の果ての神殿に行くのもいいかもしれない。きっと父上も喜ぶだろうな。
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