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【おれ】
夏の終わり。
おれの人生も終わろうとしている。
数日前、市営公園の海岸で、あの女の死体が発見された。
されてしまった。
まさか、橋から落としたあいつの死体があんなところに流れ着くなんて。
そんなつもりなかった。
急にあんなこと言いだすから。慌てちまった。
あいつはそんな女じゃないと思っていた。
自己概念が低くて。地味で控えめで。
美人ではないが、良い体してた。
おまけに口が堅い。
離婚を迫るような女じゃないと思っていたのに。
俺たちの関係は誰も知らない。
あいつも誰にも言ってない筈だ。
だが。
今、おれの目の前に、二人の私服警察官がいる。
「あの橋には不法投棄を防止する目的で防犯カメラが設置されていました。貴方が彼女を突き落とす所が、はっきり映っていましたよ」
「署で話、聞きましょうか」
夏が、終わった。
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