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何度か身体を重ね合った後、眠ってしまった環奈を腕に抱きながら、一人天井を見つめていた。
思えば、環奈と出逢ってから、色々な事が変わっていった。
まさか、自分がここまで異性に本気になり、溺れていくなんて思いもしなかった。
しかも、思っていた以上に欲深く嫉妬深いし、おまけに独占欲も強い。
こんなに重くて環奈は嫌にならないか、少し不安になる。
そんな事を思いながらすやすやと寝息をたてている彼女に視線を移し、柔らかい髪に触れる。
「……ん……」
すると、俺が触れた事で起こしてしまったのか微かに声を漏らすと、環奈が薄ら目を開けた。
「……万里、さん……?」
「悪い、起こしちまったな」
「……いえ、大丈夫です…………どうか、しましたか?」
「ん?」
「何だか、不安そうな顔、してるから」
環奈には不安が伝わったらしく、そんな事を聞いてくる。
「いや、大した事じゃねぇんだよ」
「……私じゃ、頼りになりませんか?」
「そうじゃねぇって」
「それなら、話してください」
「…………」
そうは言われても、俺が不安に思ってる事は気持ちが重すぎて嫌われないかという事な訳で、何だか口にするのは恥ずかしい。
「……万里さん?」
けど、ここではぐらかしたり言わずにいれば、環奈は落ち込むだろう。
迷った末に俺は、
「……気持ちが重すぎて、お前に嫌われないか、それが不安なんだよ」
環奈から視線を外して、そう答えた。
すると、
「……嫌いになんて、ならないですよ? 寧ろ、嬉しいです。そこまで私を想ってくれる事が」
そう言いながら、俺の身体を抱き締めてくる。
「環奈……」
「私も、万里さんの事、好きです。独占したいって思ってます。本音を言うと、ホストだって、続けて欲しくなかった。私だけを、見ていて欲しいから」
「俺はもう、環奈しか見えてねぇって」
「はい、分かってます」
「……環奈、もう一度だけ、言わせてくれ」
視線がぶつかり合い、静まり返る室内。
返事を貰っていなかったプロポーズを、もう一度やり直す。
「――環奈、これから先、俺はお前だけを愛し、何があってもお前を守り抜く。誰よりも幸せにする。だから、俺と結婚してください」
そんな俺の言葉に環奈は、
「……はい、私でよければ、喜んで」
微笑み、涙を流しながら、俺の決意を受け入れてくれた。
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