Epilogue

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Epilogue

 プロポーズから約半月後、俺と環奈、礼さんと明石さんの四人は、HEAVENの事務所に居た。 「そうか、まあ、お前らがそう決めたんなら、仕方ねぇな」 「うちはかなりの損害だ。けどまあ、とにかくおめでとう、二人とも」 「ありがとうございます」 「ありがとう、礼さん、明石さん」  俺と環奈は正式に店を辞める事を二人に伝えると共に、結婚する事も告げた。 「それはそうと、環奈はここ辞めてどこで働くんだ?」 「何言ってんだよ? 働かせねぇし」 「結局お前が養うのか? まあ金は有り余ってんだろうからいいだろうけど、環奈は外で働きたがってたんじゃねぇのか?」 「ああ、その事なんだけど……」  そしてもう一つ、俺たちは二人にある事実を告げる。 「……実はな、環奈のお腹に、いるんだよ。子供が」 「マジか!?」 「それはそれは……めでたいな! おめでとう」 「ありがとうございます」 「ありがとう」  そう、実はそれが正式に分かったのはほんの数日前。  環奈は元から生理不順だった事もあって、月のものが来ない事を気にしつつも、いつもの事だと思いそのままにしていたのだが、体調不良も重なり、まさかと思って調べてみたら妊娠している事が分かり、今はもう二ヶ月を過ぎていた。  その事から逆算すると、恐らく俺らが初めて結ばれたあの日の行為で出来た命かもしれないと考えていたのだけど、環奈はもしかしたら喜多見の子供かもしれないと不安がっていたが、それは無いと思いたい。  もし仮にそうだったとしても、俺はそんな事関係無しに育てていくつもりだと環奈にも告げている。 「ったく、しかしなぁ万里、お前、いくら環奈が好きだっつっても、避妊はしろよ」 「そうだぞ、お前たちはまだ、交際期間も短いだろ?」 「いや、まあ、それについては二人の言う通り、俺が悪かったと思ってる」 「いえ、万里さんだけのせいじゃないです。私も万里さんならって、思っているところがあったから……」  二人の言葉は最もだ。いくら好き合っていたとはいえ、やはり軽率だったと思う。  けど、俺たちに後悔は無い。 「ま、二人が想い合ってんのは分かるからこれ以上とやかくは言わねぇけど、しっかりやれよ、万里」 「はい」  そんな事もあり、俺はこれから環奈と産まれてくる子供の為にホストを辞めて新店舗のオーナーとして働く事になるのだ。 「いやぁ、しかし、本当にめでたいな」 「うん。それはそうと万里、辞めるのは分かったけど、最後にひと仕事してもらうぞ? お前の最後の出勤日は、これまで休んでた分全て取り戻してもらうからな」 「はは、そうだったな。まあ最後だし、みんな来てくれると思うから平気だろ」  環奈との事もあって最後の出勤日に集客が見込めるか怪しいところではあるが、恐らく平気だろう。  俺はあれからこれまでの客全てに連絡を取って、誠心誠意謝った。  何人かには分かって貰えなかったが、大半が納得してくれた。  そして、真美や花蓮も、最終日には来てくれる事になっている。
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