Epilogue

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「……環奈」 「どうしました?」 「……悪かったな、もう、平気だから」 「はい」  俺の言葉に頷いた環奈は身体から腕を離して隣に座り直す。  俺はテーブルに置いた缶を手に取って、再びビールを口にした。 「……悪い、なんかお前には格好悪いとこばっかり、見せてるな」 「そんな事ないですよ。寧ろ、弱い部分を見せてもらえるのは、嬉しいです」  環奈は本当に、俺の事を分かってる。  こんな良い女、他にはいないと思う。  籍は来月、環奈の誕生日に入れる事になってるから、まだ俺たちは夫婦じゃない。  けど、既に夫婦なんじゃないかと思うくらい、以前よりも互いを分かり合っている気がした。  初めて出逢ったあの日、  まさか、こんな関係になるとは思わなかった。  どん臭くて、キャバ嬢に全く向いていない彼女の事が気になった、ただ、それだけだったのに。  いつの間にか環奈を意識して、放っておけなくて、もっと近付きたいって思った。  ただ、彼氏がいるって分かった時は、諦めようかとも思った。  だけど相手がクズだと分かったあの日から、絶対、奪ってやろうと思った。  そこからはもう、環奈の存在に溺れ、全てが欲しくて、俺のモノにしたくて、堪らなかった。  そして今、環奈は俺だけのモノになった。  俺は、環奈の全てを、手に入れたんだ。 「……環奈、これからもお前には格好悪いとこ見せちまうかもしれねぇけど、嫌いにならねぇか?」 「なりませんよ。どんな万里さんでも、私は大好きです。私には、万里さんが居てくれないと駄目なんです」  何だそれ、そんな事言われたら、ますます好きになっちまうっつーの。 「――環奈」 「……ん、……」  可愛い顔して可愛い事を言う環奈の顎を持ち上げた俺は、軽く唇を塞いでキスをする。 「……ん、……っふぁ……」  角度を変え、啄むような、軽いキスを繰り返しつつ、少しだけ、強引に吸い付いてみる。  あんまりすると止められなくなるし、抱きたいけど今は無理させられねぇから、ここは軽いキスだけ。  それでもいい。  環奈に触れられるだけで、俺はすげー幸せだから。 「環奈、俺、お前の事、誰よりも幸せにするから」 「……万里さんが居るだけで、私はもう、充分幸せですよ」  今はとにかく、二人の時間を大切にしよう。  そして、子供が生まれたら、二人を幸せにしてやる。  俺の、全てをかけて。  ― END ―
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