Extra edition⑴

3/4
前へ
/74ページ
次へ
 正直、ここまで来ると、キスだけでは足りなくなる。  妊娠中、してはいけない訳じゃねぇとは言われてるけど、環奈と子供に何かがあったらと考えると俺の性欲くらい、いくらでも我慢は出来た。  いやまあ、こっそり一人で抜く事は多々あるが。  それでも、今日ばかりはもう止められなくなりつつあった。  そしてそれは環奈も同じだったようで、 「……ばんり、さん…………、したい……です」  瞳を潤ませながら切ない表情と声でそんな事を言われてしまうと、俺の理性はもう、消えてなくなってしまう。 「けど……辛く、ならねぇか?」 「大丈夫、つらくならないように、しますから……」 「分かった。俺も極力環奈に負担がかからねぇようにするから、一緒に気持ちよくなろう、な?」 「……はい」  そして、再びキスをして気持ちを昂らせた俺たち。  ベッドから降り、壁に手を付いた環奈。  後ろからの体勢の方が楽だというので、環奈の負担にならないよう気遣いながら、彼女の性感帯を攻めていく。 「……ッぁ、ん……はぁ、……っ」  息が上がって嬌声が大きくなり、俺のモノを環奈の秘部をなぞるようにあてがうと、そこから蜜が溢れ出す。  それは、俺を受け入れてくれる準備が整った合図。 「環奈、そろそろいいか?」 「……っは、い……ッ」 「ゆっくり、するから――」 「――ッッ!!」  挿れたのは久しぶりだったからか、挿入した瞬間、環奈の身体が痙攣したのが分かる。  それに持っていかれるように、俺も一気に果てそうになるけど、まだ少しだけ足りない。 「――悪い、もう少しだけ、動かすな」 「っん……、っぁ、はぁ……っ」  イッたばかりの環奈は小さく頷くも、身体の力が入らなくて辛いのと、再び与えられる快楽に、崩れ落ちそうになるのを必死に耐えているように見える。  それを俺が支えつつ、環奈の中で大きくなる自身のモノをゆっくり動かし、 「――ッかんな……」 「っばんり、さんッ」  俺たちは共に、絶頂を迎える事が出来た。  行為の後、ベッドに入り、もう明るくなり始めている空を眺めながら、眠そうに目を擦った環奈は、 「……万里さん」 「ん?」 「あの、確か今日って、お仕事お休みですよね?」 「ああ」 「あの、夜、どうしても行きたい所があるんですけど……いいですか?」 「行きたいところ?」 「はい」 「いいぜ? で、どこに行きたいんだ?」 「……あの、覚えてますか? 二人で、夜空を見た、海岸の事……」 「ん? ああ、勿論」 「私、どうしてもそこへ行きたいんです……駄目ですか?」  普段、環奈がこうして何かを頼む事など滅多にない。  だから俺はどうしてか気になったけど、行けば理由が分かるだろうと思い、 「分かった。それじゃあ夕方にでも家を出よう」  そう言いながら環奈の頭を優しく撫でた俺は、行きたいという理由は聞かず、望みを叶える事にした。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

857人が本棚に入れています
本棚に追加