Extra edition⑵

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「居なくなった!?」 「ご、ごめんなさいっ……」 「環奈、今何処にいる?」 「コーヒーカップ周辺を捜してみたけど居なくて、メリーゴーランドへ戻ったのかもと思って今向かっていて……」 「分かった、それじゃあ俺たちもメリーゴーランドの方へ行くからそこで合流しよう」 「は、はい……」  嫌な予感は当たってしまい、俺の心は焦りでいっぱいだった。 「……パパ?」  けど、ここで俺が取り乱す訳にはいかねぇと心を落ち着け、心配そうに見つめる海里を抱き上げる。 「星奈がママとはぐれちまった。とりあえずママと合流して星奈を探そう」 「せいな……きっとないてる……」 「そうだな、早く見つけてやろう」  星奈は普段は海里と言い合いをして気は強いけど、人一倍寂しがり屋だから、恐らく不安で堪らないはずだ。  こんなことなら全員で乗れる乗り物を乗るか、順番に乗らせれば良かったと後悔しながら、俺は環奈の元へ急いで向かった。 「環奈!」 「万里さんっ」  待ち合わせ場所に着くと、瞳に涙を溜めた環奈が駆け寄って来た。 「万里さんっ、ごめんなさい……私、私がっ……」 「落ち着け、環奈だけが悪い訳じゃねぇよ。ひとまず迷子の呼び掛けをしてもらおう」 「……っ、は、はい……」 「ママ……だいじょーぶ?」  俺に会えて安心した環奈が涙を零し始めると海里が不安そうな顔で心配し出した。 「海里……ごめんね、もう大丈夫だから、心配しないで」 「うん」  海里に心配をかけないと涙を拭った環奈は作り笑顔を浮かべるが、俺にはそれがもの凄く辛かった。  ひとまず迷子の呼び掛けを放送で流してもらいながら、俺たちは星奈を探す。  けど、なかなか見つからない。 「……このまま星奈が見つからなかったら、私……どうしよう……っ」  星奈が行きそうな場所を見極め直す為に一旦端によって園内マップを見ていると、再び不安に駆られたらしい環奈は弱気な発言をする。 「大丈夫だ。絶対見つかる。……つーか、何で星奈とはぐれたんだ? 目を離したって言ったけど、手、繋いでたんだろ?」  環奈は海里や星奈と外出する時はどんな事があっても人混みで手を離したりはしない。だから、正直はぐれた事が不思議で仕方無かった。 「はい、でも、急に目眩と吐き気がして、ちょっとだけ端の方で休んでいたんです。すぐ隣に星奈も居たはずなのに、いつの間にか居なくなっていて……」 「目眩と吐き気? 環奈、身体は大丈夫なのか?」 「あ、はい。恐らく星奈がコーヒーカップを回したがって結構速さがあったから、少し酔ったんだと思うんです」 「そうか……」  どうやら歩いている最中に居なくなった訳ではないらしく、そうなると星奈の意思で環奈の元を離れた可能性が強くなった。 (環奈が具合悪そうにしていたから不安になって、俺を呼びに来ようとしてた……?)  そう頭を過ぎったその時、 『――○○市よりお越しの葉瀬万里様、お子様が迷子センターにてお待ちです』  園内アナウンスが聞こえてきて、星奈が見つかった事を知り、 「万里さん! 星奈が!」 「ああ! すぐに向かおう!」  安堵した俺たちは星奈の元へ駆けて行った。
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