伝説のはじまり

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伝説のはじまり

大陸の地下世界にある魔界から或る日。 「これが地上か。明るいな」 気まぐれを起こした魔王ガルダハンがやってきた。 青い空を見上げ、目を細めた魔王の右手から躊躇なく魔力が放たれたとき、美しい緑の大地は一瞬にして焦土と化し、大陸から4つの国が消滅した。 更地となったその土地に、ガルダハンは巨大な魔王城を建て、地下に迷宮を造り、そこに玉座を据える。 「悪くないな」 そう、つぶやくと、また右手を挙げた。 ふたたび、躊躇なく地上に向かって放たれた魔の波動。 地鳴りが響き、堅い断層が崩れると、また4つの国が地上から消えた。 魔王ガルダハンが起こした地殻変動により、魔王城の周囲には灼熱の沼地が現れ、魔界と同じ瘴気が辺り一帯に漂う。 魔の瘴気を嗅ぎつけた眷属たちは、次々と地上にやってきて、更地を見渡した。 「わたしも気に入りましたよ。では、わたしは主君の巨城の南に城を構えましょう」 「ならば、俺は東に築こう」 「それじゃあ、僕は北にしようかな」 「わたしは西ですか……いいでしょう」 眷属たちは、灼熱の沼地の外側に魔力を放ち、そこに自分たちの新たな根城を築いた。 そうして一夜にして、大陸の半分が魔王ガルダハンの直轄地となったのである。
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