魔王

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その後、断面を氷雪剣で冷やしたディートリヒは「ほらよ」と、ユリアスに右腕を返した。 こうして、処理を施された魔王の右腕は、神官の治癒魔法と結合魔法によって、イザークのあたらしい右腕となった。 「どう? 痛みはないかしら?」 「肩をまわしてみて、可動域に問題はないか?」 ジルヴェスターに云われて、右肩をグルグルさせたイザークの口角が上がる。 「痛みもないし、動きも問題なし。けっこうイイ感じだよ。指環も悪くない。まぁ、これくらいは持って帰らないと、割に合わないからね」 ユリアスとジルヴェスターが結合部を確認するなか、アレクとディートリヒは遠巻きにしている。 「マジでそれ、大丈夫か? だって魔王の右腕だぞ。シャレにならないよな、ディー」 うんうんと頷く剣士は、 「身体を乗っ取られて、魔王イザーク誕生だけは勘弁してくれよ」 本当にシャレにならないことを云った。   
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