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「ええそうです、家も仕事もありませんよ! 詳しい事情が聞きたいならお話ししますけど、その前に弁償を要求します! このままでは背中とお腹がくっついてしまいます! 食べ物の恨みは恐ろしいんですよ! 串焼きが食べられなかったせいで餓死したら末代まで祟りますからね!」
「それは怖い」
青年は笑っている。
串焼きを求めて泣く女がそんなにおかしいのだろうか。
こっちは真剣だというのに! 魂の訴えだというのに!
たかが串焼き一つでと思われてるのかもしれないけれど、私にとっては文字通り命の糧だったのよ!?
伯爵令嬢だった頃のように、淑やかに微笑んで「お気になさらず」とか言えるわけないでしょう!
今の私はほとんど無一文なのだから!!
「では迷惑をかけたお詫びに奢りましょう。どうぞ遠慮なく、好きなものを好きなだけ食べてください」
私はぴたりと動きを止め、疑惑の眼差しで彼を見た。
「……好きなものを好きなだけ? 遠慮なく?」
「ええ。貴女が望むままに、何でも奢りましょう」
「本当に!? ありがとうございます!!」
喜び勇んで頭を下げると、青年は耐えられなくなったように笑い出した。
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