02:ようこそエンドリーネ伯爵家へ

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 密かに憧れていた人気店で噂に違わぬ絶品料理の数々を堪能していると、テーブルの向かいに座るリュオンが感慨深げに言った。 「まさかセラとまた会えるとは思わなかった」 「私もよ。王都にもその名を轟かせる『ラスファルの魔女』がリュオンのことだったなんて思いもしなかったわ。魔女と言えば普通、女性だと思うもの。てっきりリュオンと同名の女性だとばかり思っていたわ」  クルミの入ったパンをちぎりながら微笑む。 「リュオンと言えば男性名だろう」 「そうなのね。私は外国の出身だから知らなかった」 「とてもそうとは思えないくらい流暢なロドリー語を話すようになったな。訛りもないし、現地人より綺麗な発音だ」 「ふふ、ありがとう。リュオンと会ったとき、言葉が通じなくて歯がゆい思いをしたからね。国に帰った後で猛勉強したのよ。元気そうで良かったわ。ずっと心配してたのよ。妹が怪我を治しても動こうとしないから、何か重い病気なんじゃないかと――」 「ああ、それなんだけど。あのときおれはただ腹が減って動けなかっただけなんだよ」  彼は氷の浮かんだ果実水を飲みながら、あっさりと私が知らなかった八年前の真実を暴露した。
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