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「『それは無理。だってイノーラは犯罪者だろ? ココに聞いたよ。セラの逃亡により魔力が大幅に減衰し、《国守りの魔女》の称号をはく奪されそうになって魔力増幅アイテムを盗んだ。その罪で投獄されて、クロード王子に手助けされて逃げ出したってな』」
「『……待って。どうしてあんたがココと連絡を取ってるのよ。まさか、ココが近くにいるの?』」
さっとイノーラが青ざめた。
「『昨日ラスファルの酒場で会ったんだよ。イノーラのこと恨んでたぞ、彼女。イノーラが脱獄なんてするから王の命令でこんな遠い国まで追いかけさせられる羽目になったって、酒を飲みながら愚痴ってた』」
「『……拘束を解きなさい! 早く!!』」
イノーラが暴れ出した直後。
「『お久しぶりです、イノーラ妃殿下』」
懐かしい声が聞こえた。
イノーラがびくりと肩を震わせ、暴れるのを止める。
右手を向けば、細道からココと見知らぬ二人の騎士が歩いてくるところだった。
右頬に傷痕がある赤髪青目の大男がブラッドさんで、もう一人の金髪緑目の優男がエミリオさん。
彼らの身体的特徴はリュオンから聞いていた。
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