01:逃亡のその先に

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 いまや《レアノールの宝石》と讃えられるほど美しく成長したイノーラは国民から絶大な人気を誇り、国王すらも礼を尽くすほどだった。  今日の主役は、幸せに満ちた笑みを振りまく花嫁の他にもう一人。  妹の隣で、妹そっくりの笑顔を浮かべる花婿クロード・レジア・ニコ・レアノール。  彼はレアノールの第三王子であり、生まれながらの私の婚約者だった。  それを妹が横から奪い取った。  妹は昔から私のものを欲しがった。  お気に入りの人形、ペンダント、髪飾り、リボン、靴。  私が泣いて訴えても両親は聞く耳を持ってくれず、それどころか「お前は姉なのだから妹には優しくしろ、寛容になれ」と私を叱る始末だった。  調子に乗った妹が私を虐げ、侍女扱いしようとも見て見ぬふり。  十三歳で妹が《国守りの魔女》となってからは、家の内外での私の立場はより一層惨めなものとなった。  妹の強烈なアプローチに負けたクロード王子から婚約者を妹に変更する旨を言い渡されたときも、頷く以外の選択肢は与えられなかった。 「おめでとうございます!」 「王子様、イノーラ様、お幸せにー!」
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