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いまや《レアノールの宝石》と讃えられるほど美しく成長したイノーラは国民から絶大な人気を誇り、国王すらも礼を尽くすほどだった。
今日の主役は、幸せに満ちた笑みを振りまく花嫁の他にもう一人。
妹の隣で、妹そっくりの笑顔を浮かべる花婿クロード・レジア・ニコ・レアノール。
彼はレアノールの第三王子であり、生まれながらの私の婚約者だった。
それを妹が横から奪い取った。
妹は昔から私のものを欲しがった。
お気に入りの人形、ペンダント、髪飾り、リボン、靴。
私が泣いて訴えても両親は聞く耳を持ってくれず、それどころか「お前は姉なのだから妹には優しくしろ、寛容になれ」と私を叱る始末だった。
調子に乗った妹が私を虐げ、侍女扱いしようとも見て見ぬふり。
十三歳で妹が《国守りの魔女》となってからは、家の内外での私の立場はより一層惨めなものとなった。
妹の強烈なアプローチに負けたクロード王子から婚約者を妹に変更する旨を言い渡されたときも、頷く以外の選択肢は与えられなかった。
「おめでとうございます!」
「王子様、イノーラ様、お幸せにー!」
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