06:輝きに満ちた未来

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「『イノーラ妃殿下』」  地面にうつぶせに転がっているイノーラを眼鏡越しに見下ろして、ココは冷淡な声音で告げた。 「『私たちは妃殿下とクロード王子を連れ帰るようレアノール国王に命じられてここに居ます。国王は「生死を問わず」あなたたちを連れ帰れと私たちに命じられました。そこで妃殿下に選択肢を差し上げます。おとなしく私たちに同行するならそれでよし。抵抗するなら私はあなたの死体を国に持ち帰ることになるでしょう。どちらが良いですか?』」  ココは言いながらイノーラに向かって右手を突き出した。  さすがにリュオンには及ばないものの、かなりの速さで金色に輝く魔法陣が描かれていく。  この魔法陣は風を生み出す一級魔法だ。  直撃すれば人体など吹き飛ぶであろう威力の魔法陣を見て、イノーラの顔色はますます白くなった。 「『……わ、わかった。抵抗しない。約束するから、だから止めて』」 「『承知しました。一度だけ信じます』」  ココが魔法陣を消して手を下げ、リュオンが魔法の拘束を解く。  その瞬間、イノーラは脱兎の如く走り出した。その先にいるのはクロード王子。
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