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「『申し訳ありません王子、よく聞こえなかったもので。もう一度言っていただけますか?』」
見ると、リュオンは薄く笑っていた。
「『いえ、その……なんでもありませんです、はい……』」
すごすごと引き下がったクロード王子の腕をブラッドさんが掴む。大根でも掴むようなその無造作ぶりからして、彼には一国の王子に対する敬意など欠片もないようだった。
「『協力に感謝する』」
ブラッドさんは私たちに会釈した後、泣いているクロード王子を連れてエミリオさんの後を追った。
レアノールからやってきた三人のうち、残ったのはココだけだ。
「『本当に、救いようのない馬鹿どもだわ……案外お似合いの夫婦かもね』」
ココはため息を吐き、私の前に立って口を開いた。
「挨拶が遅くなってしまったけれど、セレスティア――じゃなかった、いまのあなたはセラだったわね。久しぶり」
ココは綺麗な発音で話し始めた。
さすがは才女。ロドリー語も扱えるらしい。
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