06:輝きに満ちた未来

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「私とあなたは仲が良い友達というわけでもないし、私がロドリーに来た当時の目的を考えれば、とても感動の再会というわけにはいかないけれど……」  詫びるようにココは目を伏せてから、また顔を上げた。 「でも、会えて良かったと思うわ」 「私もココに会えて嬉しいわ」  私が微笑むと、ココも眼鏡の奥の目を細めた。  ふと、懐かしい記憶を思い出す。  魔法学校で池に鞄ごと教科書を投げ込まれ、泣きそうになりながら拾っていると、ココは池に入って拾うのを手伝ってくれた。  飛翔魔法の演習中、箒にまたがって悠々と宙に浮かぶ魔女たちを地上からただ見上げるしかできなかった惨めな私を気遣い、箒が折れたことにして降りてきてくれた。  授業が終わるまで、二人並んで演習場のベンチに座って風に吹かれた。  長い長い沈黙の後で、彼女はぽつりと呟いた。  ――あなたも大変ね。  敵だらけの魔法学校の中で、ココはただ一人、消極的な味方でいてくれた。  表立って私を庇うことはなかったけれど――何せイノーラの大親友がココが暮らす村の領主の娘だったのだ。私に肩入れして反抗すれば家族が酷い目に遭う――私が挫けそうなときは陰でそっと励ましてくれた。  それがどれほど救いになったか、多分ココは知らないだろう。
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