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「それにしても、さっきは思わず笑っちゃった。セラっておとなしそうな顔して、人前で堂々とイチャつくような人だったのね。全く予想外だったわ」
「ち、違うの、あれはイチャついてたわけじゃないの!!」
私は赤面して両手を振った。
「じゃああれは何なの?」
「…………」
「ふふ。学校ではいつも暗い顔をしていたセラがいま幸せそうで良かったわ。多分もう二度と会うことはないと思うけれど、元気で」
ココは手を差し出した。
私が魔女と手を繋ぐ危険性を知っていながら、リュオンもノエル様も何も言わない。私の意思に任せてくれている。
ほんの少しためらいはあったものの、手を握り返すと、ココはすぐに自分の魔力量の大幅な上昇を認識したらしい。翡翠色の目が丸くなった。
「……ああ、なるほど……これは確かに危険な力だわ。セラを巡って戦争が起きるというのも、決してありえない話じゃないわね」
握手を終えたココは自分の手を見つめて呟き、私のすぐ傍にいるリュオンを見た。
「でも大丈夫ね。セラには素敵な騎士様がついてるみたいだし?」
リュオンが命懸けで私の身の安全を保障してくれたことを知っているらしく、ココは反応を試すような悪戯っぽい眼差しを投げてきた。
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