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「……ええ。私にはもったいないくらいの騎士様だわ」
「まあ、惚気られてしまったわ。あなた本当に変わったわね。まるで別人みたい。良い変化だわ」
吹きつけてきた風に髪を押さえ、ココは優しく笑った。
「じゃあね。身体には気を付けて」
「ありがとう。ココも元気で」
「ええ。――お二人とも、この度はご協力本当にありがとうございました」
ココはノエル様たちに挨拶し、それから踵を返した。
一度だけ振り返った彼女に手を振り、その姿が見えなくなってしばらくすると、ノエル様は自分の腰に右手を当てた。明るい声で言う。
「一件落着かな?」
「はい、きっと。ココは優秀なので、イノーラたちを逃がすような失態を演じることはないでしょう。いざというときのために一応これも持ってきたのですが」
私はポケットから赤い護符を取り出した。
アマンダさんから貰った謎の護符。
「どんな効果があるのかもわかりませんから。一か八かを賭けてこれに縋らなければならないような事態が起きなくて良かったです……リュオン? どうしたの?」
リュオンが愕然と護符を見つめていることに気づいて、私は首を傾げた。
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