06:輝きに満ちた未来

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 胸にこみ上げるものがあるらしく、ぐっと右手を握って目を閉じる。 「良かったね、兄さん」  ノエル様がユリウス様の肩を叩いて笑った。  兄弟は笑い合い、私の隣でリュオンも安堵の表情を浮かべている。  ――ああ、良かった。  私は穏やかな気持ちで微笑み、リュオンと手を繋いだままドロシーに近づいた。 「お願いを聞いてくれてありがとう、ドロシーさん。やっぱりあなたはいい人だったのね――」 「それはどうかなあ?」  ドロシーの口の両端がつり上がり、彼女の頭上に複数の魔法陣が浮かんだ。  えっ――  目に映るものが信じられなかった。  魔法を使うには集中力がいる。  どんな魔女であっても一度に使える魔法は一つだけのはずなのに、ドロシーの頭上には同時に三つの異なる魔法陣が出現し、間髪入れずに視界が真っ白に染まった。  急に全身から力が抜けて、私がその場に座り込んでしまうよりも早く。  ――バシンッ!!  例えるなら平手打ちでもしたかのような音が炸裂し、私の手を掴んでいたリュオンの手の感覚が消失した。 「――!?」  リュオン!?  叫びたかったけれど、言葉は声にならなかった。 「――捕まえた」  泥濘の底から響くような、ねっとりとした少女の声が耳元で聞こえる。
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