06:輝きに満ちた未来

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「ねえ、知ってる? セラ。あなたはあなたの意思で増幅対象を選ぶことはできない。つまりね、あなたの魔法はあなたの意思がなくても、あなたが生きてるだけで発動するの。必要なのはあなたの肉体であって、あなたの自我は要らない。というわけで、セラは精神的に死んでもらって、あたしが有効活用してあげるわね? これからは生きた人形としてあたしの傍にいてちょうだい」  この世の何よりも恐ろしい魔女の手が私の頭に触れる。  ひやりとしたものが背筋を這い上ったそのとき、リュオンが謎かけのような言葉を口にした。 「――ドロシー・ユーグレース。お前は世界で一番綺麗なものを見たことがあるか」 「は?」  ドロシーが怪訝そうな声を上げる。 「世界で一番綺麗なもの? 何それ? 大きなダイヤモンド? 青い空? 海の珊瑚? 一面に咲いた花? それとも夕焼け? 空に輝く月?」 「違う。月より星より綺麗なものだ。おれはそれを知ってる。セラが教えてくれた」  リュオンはふと空を見上げてから、空に似た青い双眸を私に向けた。  彼は酷く透明な笑みを浮かべて言った。一言。ただ一言だけ。 「――ごめん」
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