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レアノールではいつだって妹が優先で、私の意思は圧殺されていた。
「……わかったわ。でも、ここでは話しにくいから、場所を変えさせて」
私は人気のない路地裏まで行き、包み隠さず事情を打ち明けた。
「……そんな事情があったのか。八年前、ためらいもせずに妹の前で跪いた時点でおかしいとは思っていたんだ。セラはずっと妹に虐げられてきたんだな」
リュオンはまるで自分が不幸に遭ったかのような沈痛な面持ちで言った。
「……辛かったな。それでも笑顔で妹の結婚式に出席するとは、セラは立派だ。よく頑張った」
「……!」
脳が揺れるほどの衝撃が走る。
そんなことを言ってくれた人は誰もいなかった。
「……何故泣く?」
「えっ。あれ。ごめんなさい。泣くつもりではなかったのだけれど。おかしいわね」
慌てて目元を擦ると、リュオンは私の頭を撫でた。
――えっ。
「あの……?」
反射的に首を竦めた後、びっくりして彼を見つめる。
「嫌なら止める」
私の頭に手を置いたまま、リュオンは選択肢を私に与えた。
青く深い海を思わせる瞳がじっと私を見ている。
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