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やせ細っていた身体には筋肉がつき、すっかり逞しい男性へと変貌を遂げた。
離れていた八年の間にお互い大人になったことを、彼の腕に抱かれながら私はまざまざと感じていた。
「……落ち着いたか?」
どれくらい時間が経ったのだろうか。
私が泣き止んだ気配を察したリュオンが抱擁を解いて一歩下がった。
「ええ。ごめんなさい」
ハンカチを取り出して目元を拭った私はそのまま俯き続けた。
声がかすれるほど泣いたおかげか気分はスッキリしているけれど、こうして冷静になってみると、恥ずかしくて居た堪れない。
子どものように泣いてしまった上に、抱きしめられてしまった。
泣き腫らした私の顔はきっと赤く染まっている。
とてもリュオンに見せられる状態ではなかった。
「謝るようなことじゃない。泣くことで少しでもセラの気分が晴れるなら、この先いくらだって付き合うよ」
大真面目な調子でそんなことを言われたものだから、私の顔はますます赤くなった。
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