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これは想像以上だわ……。
由緒正しい世襲貴族が住むに相応しい立派な館を見上げて、私は呆然。
伯爵令嬢だった頃に住んでいた家と比較しても、この大きさは尋常ではない。
完璧に整えられた庭には噴水や池があり、見たことのない色鮮やかな魚が泳いでいる。
これが公園ではなく個人の庭園だという事実が信じがたい。
「これが本館で、ユリウスは弟のノエルと一緒に向こうの別館に住んでる」
左手に買い物袋を抱えているリュオンは本館の前で足を止め、右手で広大な庭園の一角を示した。
そちらを見れば、庭園の一角にまた別の三階建ての建物がある。
茶色の壁に白い窓、三角に尖った屋根。
前庭ではピンクや赤、白の薔薇が咲き乱れ、建物の横には贅沢にも硝子囲いの温室が建っていた。
さすがレアノールの十倍はある大国の伯爵だ。
レアノールの公爵でもこんな豪華な屋敷には住んでいなかったというのに、似たような別館まであるとは……。
呆気に取られている私をよそに、リュオンは真鍮製のドアノッカーで本館の玄関扉を叩いた。
「お帰りなさいませ、リュオンさん」
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