05:夜を駆ける

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 それから、バーベイン様と、ギムレット様と、宰相と、ええとあの人は――名前は確かアドルフ・ネルバ大公爵だっけ。ルカ様の叔父さん。 「貴様――」  バーベイン様は私の手の中にある割れた王妃の肖像画を見て、怒り心頭の様子だったけれど。 「ああああああああああ――!!!」  プリムの大絶叫がギャラリーに鳴り響き、バーベイン様の怒号を打ち消した。  思わず全員が身を竦めて耳を塞ぐ。  何事かとプリムを見れば、プリムは怒りの形相でアドルフ・ネルバ大公爵を指さしていた。 「見つけたわ、こいつよノクスに呪術をかけて殺そうとしたクソ野郎!! 気持ち悪ッ、呪術のせいで存在が変質して人間じゃなくなってるじゃないの!! なんでみんな平気な顔してそいつの傍にいるのよ!? 信じられない!!」  明かされた犯人の正体に驚く暇もなく、プリムは続いてバーベイン様を指さした。 「あんた!! 一番偉そうだからあんたが国王でしょ、そうでしょ!?」 「そうだけどプリム、国王陛下を指さしたらダメ――」  諫めようとした声は、またしてもプリムが掻き消した。
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