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プリムの話によれば、ノクス様にかかっている術式の名前は《百度目に喰い殺す蛇》――その回数に応じて酷くなる頭痛を引き起こし、頭痛の回数が百回目になると確実に死ぬという厄介なもの。
術式を発動するために必要な呪術媒体は二十個らしいので、残りあと一つを破壊すれば術式は解けるはずなのだが――
「……本当にこれか?」
「ええ。この絵よ」
王宮の二階。
ギャラリーにずらりと展示された絵の中で、プリムが指さしたそれを見て、さすがのラークも嫌そうに顔をしかめた。
プリムが指さした先にあるのは、金の額縁に収められた美しい女性の肖像画。
緩やかに波打つ金糸の髪。
その瞳はノクス様と同じサファイアだ。
左目の下にぽつんと黒子があり、白い肌の中で目立っていた。
女性は王族の椅子に腰かけ、下腹部の上で両手を重ね、穏やかに微笑んでいる。
肖像画の下にあるキャプションは『慈愛の微笑みを浮かべるドラセナ王妃』――
「ああ……」
よりによってこの絵が呪術媒体に選ばれたのかと、私は小さく呻いた。
同時に、術者への恨みがより一層募る。
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