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プリムはこの期に及んで決心を鈍らせている私を冷ややかな目で見つめ、無機質な声音で告げた。
「かけられたのが軽度の呪いなら望みはあったかもしれないけれど、《百度目に喰い殺す蛇》は重度の呪い。解呪なんて不可能だわ。たとえ奇跡が起きて解呪に成功したとしても、ノクスの心身には重大な後遺症が残る。結局、全部無駄なの」
無言で唇を噛んだ私を見て、プリムが言った。
「――ねえ、もう諦めなさいよ」
プリムは無表情のようでいて、その実、心配と同情が見え隠れしている。
どれだけ冷淡に振る舞おうとしても、やっぱりこの妖精は優しいのだ。
私は心の中で微笑んでから首を振った。
「ううん。諦めるわけにはいかないよ。ルカ様に頼まれたから。私だって、ノクス様を失いたくない」
せめてこの目に焼き付けそうと、ドラセナ王妃の肖像画を食い入るように見つめて言葉を紡ぐ。
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