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「プリムはこれまで何度も警告してくれたね。どんなに足搔いたって無駄だって。でも、私の我儘に付き合って広い王宮を端から端まで飛び回り、呪術媒体を見つけては教えてくれた。私たちがいくら訴えたって、呪いを見ることができない人間にはそれが呪術媒体がどうかなんてわからない。はたから見れば私たちは無意味に国の重要文化財を破壊して回った、ただの犯罪者よ。ごめんね、ラーク、シエナ。私のせいであなたたちは騎士の称号をはく奪される。犯罪者の烙印を押されるとわかっていながら、それでも最後まで付き合ってくれてありがとう。私一人じゃ全ての呪術媒体を破壊するなんて不可能だった。多分、三個目くらいであっさり捕まってたよ」
私たち以外誰もいないギャラリーに複数の足音が近づいてくる。
どこか規則的な足音には覚えがある――ディエン村でも聞いた。
あれは鍛え抜かれたこの国の騎士団の足音だ。
とうとう騎士団が私たちを捕まえにきたらしい。
いくらラークとシエナが強いと言えど、多勢に無勢。
私たちは捕まって、それから、どうなるんだろう。
その先は――あんまり考えたくないな。
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