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「プリムもありがとうね。期待すれば期待する分だけ、望みが叶わなかったときに私が傷つくことになるから、必死で止めようとしてくれてたんでしょう? それくらいわかるよ。でもごめん。たとえ僅かな可能性であっても、私はそれに賭けたいの。だって、こんな結末あんまりでしょう?」
私は肖像画の縁を掴んで壁から外した。
これはルカ様の大切な絵だ。唯一無二の宝物。
――だから、この役目は誰にも譲らない。
クラウディア様の絵を破壊したラークを真似て、私は両手で固定した肖像画に思いっきり右膝を叩き込んだ。
肖像画は真っ二つに割れて、ドラセナ王妃の身体が分断された。
ごめんなさい、王妃様。
私は割れた肖像画を抱きしめて、亡き王妃様に心の底から詫びた。
ごめんなさい、ルカ様。あなたの宝物を壊してしまいました。
後で謝りますね。何度でも謝ります。
――でもどうか、これでノクス様の呪いが解けますように。
「よくやった」
ぽんぽん、とラークが私の頭を軽く叩いた。
苦笑で応えた直後、ギャラリーに十五人もの騎士たちがなだれ込んできた。
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