06:訳あり王子の守護聖女

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 回廊に灯る魔法の明かりの下で会話しながら私が笑うと、ルカ様も笑った。  最近ルカ様はよく笑うようになり、その変化がとても嬉しい。  やがて辿り着いた大広間はまるで別世界のようだった。  煌々と輝くシャンデリアの下では既に大勢の紳士淑女が集まって歓談している。  会場の隅では宮廷楽団が音楽を奏で、いくつも繋げられた長テーブルの上には料理や飲み物が所狭しと並んでいた。 「ステラ」  華やかに飾り付けられた舞踏会場をのんびり見て回る余裕はなく、ルカ様は大広間に入ってすぐに足を止めた。 「父上が乾杯の挨拶をするまでは、俺は王子として高座にいなければならない。お前を一人残すことになるが……帰りを待てるな?」  ルカ様が私を見つめる眼差しは不安そう。  いない間に浮気されるとでも思っているのだろうか。心外だ。  ちらちらと私を見る貴族男性たちの眼差しは感じているけれど、こちらから応じるつもりは一切ないというのに。 「はい。ちゃんと高座から見える範囲にいますし、たとえ誰かに誘われたとしても断りますよ。ご安心ください」 「……お前は大人気だからな。厄介な男に絡まれないか心配だ」
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