EP1、第1ゲーム・増田英須

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EP1、第1ゲーム・増田英須

 私は高校までの通学路にあるの家に寄ってから学校へと向かう。それは私にとって中学生の頃から変わらない朝の光景だった。 「おはよーございますっ」  彼の家は町内でも有名なトレーディングカード専門店(トレカショップ)になる。昔はゲーム屋だったり玩具(おもちゃ)屋だったりしたが、これも時代の流れと言うやつだろう。私は店の真裏にある彼の家で呼び出しベル代わりの挨拶をする。 「おや、リオちゃんおはよう。今日も朝から元気だね」  そう言って出迎えてくれたのは、彼の父親になる増田冒斗(ぼうと)さんだ。トレカショップの店主になる。私の家と彼の家は近所にあり、いわゆる幼馴染みと言うヤツだ。彼の父親とも顔見知りの関係だ。 「おい、英須(えいす)、いつまで寝てるんだ! リオちゃん、来てるよっ!  いつもすまないね。英須を迎えに来てくれて」 「いや…そんな、英須君を迎えに来るのは日課のようなものなんで…」  彼は中学生はおろか小学生の頃からこんな感じだ。女の私には分からないが、彼には彼の夢中になっているものがある。それだけで放おっておけない存在になる。 「ったく、まだ起きないのか…仕方ないな」  そう言いつつも彼の父は部屋に起こしに行ったようだ。その間にも彼の父の声が聞こえた。
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