雨上がる

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 靴を履き、二人で外に出る。あたりは清々しい空気に満ちている。遠くから鳥の声。見上げると、澄み渡る空を征く鳥の群れが。 「車で送ってやろうか」 「大丈夫です」 「そうか。気をつけてな」 「はい。征也さんも。お世話になりました」  彼は、手ぶらで去っていくスミカの背中を眺めていた。踵を返し、家に入ろうとして立ち止まる。やがて振り返った彼がスミカの背中へ呼びかけた。 「もしも帰る場所が無かったら、ここへ戻ってこい」 「はい?」    思いがけない彼の申し出に、彼女は立ち止まった。彼に向かって深々と一礼し、小さく手を振った。何度も振り返り、庭を通って行き、彼とつかの間の時を過ごした屋敷をあとにした。
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