雨上がる

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「雨も止んだし、服も乾いた。そろそろ行くか」 「はい。ありがとうございました。助けてくれて」  ペコッとお辞儀をした彼女は、彼の顔を見つめてこう思った。  やっぱり優しい人かもしれない。 「そういえばおまえ、荷物とか持っていないよな。倒れていたときも何もなかった」 「はい。なんにも無いです。置いてきちゃって」 「どこに」 「ええと」  そう言ったきり答えない。 「財布は?」 「無いです」 「金を持っていないのかよ。これからどうすんだ」 「友だちのところに行こうかなって」 「ふん」  納得していない様子で鼻を鳴らした彼は、チノパンのポケットから財布を引っ張り出した。 「これ持っていけ」  取り出した二枚の紙幣を差し出した。 「えっ!」 「やる。返さんでいい」  驚いている彼女の手に無理やりに握らせる。 「当面の足代とセックス代だ」 「でも」 「ホ別2ってやつだ」 「ああ、なるほど」  うっかりうなずいてしまったスミカを征也が怖い顔で睨んだ。
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