第一章

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 第6エリア西地区の異能力集団である【曇天】には、東雲・西雲・南雲・北雲と4つの位が存在する。簡単に言うならば、幹部クラスに与えられる称号だ。   「ナンバーツーの秀さんがついてる北雲は例外だが、それ以外の3つは位でいうと同列だな。まぁ先輩後輩の上下はあるけど」 「基本的にはそれぞれの地位につける人材は1人だけ。でもペアを組んでいる場合は、2人で1つの称号を与えられることになるんだ」  冷静さを取り戻した秀が付け加えた言葉に、蓮華がピクリと反応する。そしてある答えに辿り着くと、先ほどよりも一層訝し気な表情を浮かべた。 「……この話の流れでいくと、俺が東雲の座につくってことは、つまり…」 「そう。陸翔は【曇天】の幹部、東雲だよ」 「……これが?」 「泣かすぞクソガキッ!」 「ってことで蓮華くん!入って早々幹部ってのもピンとこないだろうけど、まぁ気楽にやってよ」 「お前はボスとして気楽すぎるがな」 「とーここで!東雲の2人に早速任務を与えたいと思いまっす!!」  秀の鋭いツッコミを強引にスルーし切り出してくる。  新入りとの初任務。それなりに実力があることは先ほど理解した。ここはいつだって人手不足、初めから重いものになるかもしれない。  一体どんな内容なのかと身構える中、ボスは意気揚々と言い放った。 「ズバリ2人には、とある学園に潜入捜査をしてもらいまーす!」 「「……は?」」
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