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新入りが入ってから3日。あの容姿もあり、やつはすっかり野郎どものアイドル的存在だ。
蓮華ちゃん蓮華ちゃんと言い寄られ、今も掃除中の新入りに何処からともなく湧いてきた連中が「掃除代ろうか?」「疲れてない?」と絡みにいっている。それを尽くスルーしている姿はどこまでもドライだ。
そういえば、例の”恒例行事”はどうするのだろう。
新入りが来た時には毎度お決まりになっているのだが、今回やるとなると色々と趣旨が変わってくる気が……
「おい」
その時、冷えた声が頭上でした。見上げれば琥珀色の瞳と視線がぶつかり、陸翔は一瞬虚をつかれ固まる。
この3日間、新入りは一度も声を発さなかった。てっきり口が利けないのかと思ったが、そういうわけではないらしい。
ただでさえ考えが読めない無表情だ。多少不安視していたのだが、わざわざ声をかけてくるなんて案外可愛げが……
「その足を退けろ。掃除の邪魔だ」
「……あ゛?」
前言撤回。やはりただのクソガキだ。
「おい、口の利き方に気を付けろ。こちとら先輩だぞ」
「そんなもの、実力主義のここじゃ意味ないだろ」
「ッ、…俺より実力があるって言いてぇのか?」
「簡単に背後をとられるヤツより劣っているとは思わない」
「こっっっの…!」
怒りのあまり血管がはち切れそうだった。何故自分がこんなクソ生意気なガキとペアを組まなくてはならないのか。
堪らず溜息をついたその時、新入りの背後から忍び寄る影が視界に入った。
「蓮華ちゃあああああああん!!」
奇声を発しなから背後の男は新入りに抱き着こうとする。
しかし伸ばされた手は虚しく宙を掴んだ。新入りが軽い身のこなしで男をかわしたのだ。
「うおっ⁉︎」
丁度対角線上にいた陸翔は慌てて座っていたソファから飛び退く。空になったソファへ、男は顔面から激突した。
今のが合図だというように、周りの組員が一斉に蓮華へ襲い掛かる。
一瞬でどんちゃん騒ぎとなった一帯に、陸翔は「あちゃー…」と頭を抱えた。
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