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麗華のドレスは、着る人を選ぶような銀糸で薔薇の刺繍が施された鮮やかなエメラルドグリーンのドレスだった。
大人びた彼女にはとてもよく似合っていたが、女性は可愛いものが好きと聞く。
もしかしたら、親に好みを押し付けられて自分では淡い色のドレスを選べないのかと思ったのだ。
「なるほど、お前なりの配慮だったわけだな」
「それが去年の彼女の誕生日。だが一向にそのドレスを着ている姿を見かけないから、予想がはずれたかと思ってはいたんだが」
まさか、人の手に渡るとは予想もしなかった。
「お前の意図が麗華さんには伝わらなかったか」
流星にはよくわからない。
「とにかく、今度は一緒にドレスを買いに行こうと言ったんだが、急に帰ると言い出して行ってしまった」
あらためてパラソルを手に取った。
いつもこのパラソルを持っているところをみると、彼女のお気に入りなのだろうか。
開いてしげしげと見ると、幾重にも重なるレースは、繊細な薔薇の花の柄が入っている。
「薔薇が好きなのは間違いないな……」
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