金木犀。-美月side-

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金木犀。-美月side-

窓を開けると、どこからともなく金木犀(キンモクセイ)の香りがした。気がつけばもう秋になる。 「私はこれから、どうすればいいんだろう」 宛のない金木犀の香りにそう呟くとスマホが鳴った。 ふうと息を吐きスマホの画面を眺めると、メッセージの通知が表示されていた。 そこには「ななちゃん元気?親戚の太陽だけど…」と表示されていた。 「え、だいちゃん…?」 どうして? もしかして、だいちゃんにも私のこと伝わったの? それで、心配して連絡してくれたの? どうしよう。 「うぅ…」 だいちゃんにまで迷惑かけちゃってる。 溢れる涙と、手の震えが止まらない。メッセージを見るのが怖い。 自分を落ち着かせるために、何度も何度も深呼吸をして、意を決してメッセージを開いた。
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