だいちゃん。-美月side-

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だいちゃん。-美月side-

私の父は実業家で、母は看護師。 二人とも毎日忙しくて、ほとんど家に居なかった。 一人っ子の私は、毎日寂しかった記憶しかない。 13歳の夏休み、おじいちゃんとおばあちゃんの家に行くことになった。 夏休みにパパとママとお出かけできるなんて、はじめてのことだったから、本当に嬉しくて前日の夜は眠れなかった。 「こんにちは〜」 「よく来たね。さあ上がって」 いつも優しく出迎えてくれるおばあちゃん。 リビングに入ると、親戚のおばさん一家もきていた。 そこには小さくて可愛い男の子が居た。 「こんにちは。はじめまして」 私は男の子の前にしゃがんで声をかけた。 すると恥ずかしそうに、おばさんの後ろに隠れてしまった。 「ごめんね、この子人見知りで。ほら、だいちゃん、ななちゃんにこんにちはは?」 「んふふ。だいちゃんっていうの?私はななちゃん、仲良くしてね」 優しく頭を撫でた。 頭を撫でた瞬間、だいちゃんの表情がフワッと明るくなった。 「ななちゃん!」 そう言って嬉しそうに私に抱きついてきた。可愛い! 「んふふ。ありがとう。よしよし」
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