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ライブの帰り際、母さんに「僕、アイドルになる!」と告げ、翌週からダンススクールに通い始めた。
だけど、引っ込み思案で人見知りだった俺は、人前に出て踊るのが恥ずかしくてたまらなかった。
なかなかうまく踊れず「僕には才能ないのかも」ともう辞めようかと諦めかけていた時、ななちゃんの結婚を知った。
意気消沈した俺はダンスに没頭した。どうしても失敗してしまうパートを、何度も何度も繰り返し練習した。どの角度が一番カッコよく見えるか、ポージングの研究もした。
人一倍、いやそれ以上に努力した。
そうやってダンスが上達することで自信がつき、人前で踊ることも恥ずかしいと思わなくなっていた。
そして12歳の時、ダンススクールのライブを観にきていたアイドル事務所からスカウトされ、その7年後の去年7月7日にデビューを果たした。
今日は、ななちゃんに何があったのかを聞くために会うんだ。
そう思うと物凄く不安になる。
でも、俺にできることがあるなら力になりたい。
俺が何処まで踏み込んでいいか分からない。でも、全て真摯に聴いてあげたい——。
俺の行きつけの店で待ち合わせ。
嬉しすぎて30分も前に着いてしまった。
誰かと待ち合わせして、こんなに緊張したのは初めてだ。
口から心臓が飛び出そうとはこういうことか。(どういうことだ)
ヤバい、手汗が止まらん。
ソワソワして、貧乏ゆすりをしてしまう。落ち着け俺。ふぅ。
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