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「やっぱりオーラあるね。それに顔小さーい」
そう言って俺の顔を両手で包んだ。
…幸せ。
いや。そうじゃなくて。
今日はななちゃんに何があったかを聞く為に会っているんだぞ。
平常心、平常心。
しかし、ななちゃんは昔みたいに俺に接してくれてるな。
可愛い弟のだいちゃんのままって感じだ。
たわいも無い話。笑い声と共に穏やかに流れる空気。
会えなかった年月を埋めるかのように、俺たちは時間を忘れて語った。
俺のアイドル活動の話。
ななちゃんの仕事の話。
うちの子の話。俺はルナ、ななちゃんは北斗という保護猫と暮らしていること。
そして、今のななちゃんのことを——。
「俺さ子供の頃、ななちゃんの天然なところとか、たまにおっちょこちょいな所を見て『大人になったら、絶対に俺がななちゃんを守るんだ!』って思ってた。今もそう思ってるよ。だからさ、俺と一緒に暮らさない?今度は俺がななちゃんを守るからさ。もう何年も会ってなかったけど、本気だから」
ちょっといきなり攻め過ぎたか…?
「だいちゃんは…もう。優しいなぁ」
そう言って、ななちゃんは泣き出してしまった。
「あっごめん!久しぶりに会っていきなり過ぎたよね。ホントごめん」
ヤバい。何やってんだ俺。怖がらせたに決まってるだろ!
「ううん。違うの。そんな風に誰かに言ってもらえたこと、今まで無かったから嬉しくて。私には何の価値もない、生きていても無駄な人間だとずっと思ってたから」
ななちゃん…。
何でだよ。
俺は思わずななちゃんを抱きしめた。
「そんな訳ないだろ」
本当に俺が守るから——。
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