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やっと俺のもの
「っ、っん、…」
「陽奈、息止めないで。鼻で呼吸して」
楓の部屋の玄関。
深いキスの後、楓の部屋に連れてこられたかと思えば、部屋に入って早々に再びキスが始まった。
楓のこと好きなの?わからない、でも、このキスが嫌じゃない。むしろ、心地よいとさえ思っている。
好きになって、片思いして、告白して、デートして、キスして…そんな段階で人は付き合って、体を繋げるのだとずっと思っていた。
でも、実際は、そんなことばかりじゃない。
陽奈はそれを、今、身をもって実感している。
楓のキスが、気持ちいい。このまま、ずっとしていたい、そんな思いに呑まれる。
楓もそれがわかっているのか、したり顔で陽奈に深くキスをする。
「っ、ひゃ、っ!」
「大丈夫」
楓の唇が陽奈の唇から離れ、陽奈の首筋へと移動した。くすぐったいような、気持ちよさ。
(うそ、なんで…)
そこはかつて、英太にも唇で触れられたことのある場所だった。あの時は、ゾワリとした感覚が怖くて拒否をした。でも、今は、怖いどころかゾクゾクとした高揚感。
好きだと言って付き合った英太よりも、勢いで付き合った楓の方との行為の方が心地良い。
「んっ、あっ、神木、く、」
「楓って呼んで、陽奈」
「か、えで、っ、あ、だめ、」
降りていた楓の唇が、陽奈の唇に戻される。それと同時に、楓の大きな手が陽奈の胸に触れた。
びくり、と初めての感覚に体が跳ねる。
楓は陽奈を安心させるように優しくキスをすると、陽奈を抱き抱えて寝室に運んだ。
ゆっくりとベッドにおろされた陽奈は、息が少し上がった状態で、ぼんやりと楓を見つめていた。
「陽奈、きいて」
「………?」
「俺はね、本当はずっと前から陽奈のこと、知ってたんだよ」
「え…」
「片思いだったけど」
「うそ、どこで…」
「それは、また今度」
楓は陽奈に覆い被さると、表情を隠すように陽奈に口付けた。
「だからね、陽奈。俺は、すごく陽奈がほしい」
「っ」
「陽奈が流れを大事にしてるのはわかってる。けど、きっかけの差で、あんなやつに陽奈を一時でも取られたと思うと、もう無理」
今すぐ、陽奈が欲しい。
ぎらついた瞳で、楓が雛の瞳を捉える。
楓の瞳の中に映る陽奈の姿は、恍惚とした表情している。
考えても、わからない。でも、この人に流されてみたい。陽奈の中に、確かにその感情があった。
「………シャワー」
「え?」
「シャワーしてからが、いい」
恥ずかしくて、顔を横に向けて、目はきゅっと閉じる。楓もするのは嫌じゃない、けど、さっきのように触れられるのなら、シャワーを浴びたかった。
楓は陽奈を見下ろして微笑むと、優しく陽奈の額にキスを落とすと浴室まで運んでくれた。
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「あの、」
カーテンが締め切られた部屋は暗いが、昼間なので依然として明るさを感じる。
シャワーのあと、ベッドに連れ戻されて組み敷かれた陽奈は、楓を見上げて口を開いた。
「なに?」
「私、何もわからないから、」
ごめんなさい、と言おうとした口を、楓がキスで塞いだ。優しい包むようなキス。その甘さに、陽奈はまた夢中になる。
「優しくする」
言葉でそう言うよりも、楓は優しく陽奈を抱きしめた。流されても、いい。そう思った。
キスが深くなると、再び首筋に唇が落とされる。服は、着る前に楓にベッドに連れてこられたため、着てない。
「っ、あ、」
ふわりと優しく楓の手のひらが雛の胸を包んだ。その感覚が、くすぐったい。
「陽奈、」
「っ?、っ、あぁ!」
優しく名前を呼ばれたかと思うと、楓は陽奈の胸にある小さな蕾指で擦った。その刺激は、陽奈が知るどんなものでもない感覚だった。
「あ、っ、やぁ、か、えで、や、」
「陽奈、それはね、気持ちいい、だよ」
気持ちいい?これが?
きゅうきゅうとした胸を締めるような感覚と、高揚感。卑猥なことをしている背徳感と満足感。
気持ちいい、素直にそう感じられた。
「ん、ぁ、あ、」
「ほら、陽奈、言ってごらん?」
「あ、っ、あ、き、もち、い、あぁ、」
陽奈を誘導しながら、楓はその綺麗な指を動かすのをやめない。
そして、その薄い形のいい唇で陽奈の胸の蕾を摘んだ。
「ああぁ!」
「っん、陽奈、かわいい」
「ひゃぁ、あ、そこ、だめ、」
「だめじゃないでしょ?」
ちゅうっと吸われる感覚と、舌で転がされる感覚が陽奈を襲う。陽奈はもう、全身で楓に縋り付いて、泣くように出てしまう声を、楓の肩口に顔をつけることで必死に抑えようとしていた。
その姿が、さらに楓の加虐心をくすぐった。もっと陽奈の姿を、声を見たい。
顔では陽奈の柔らかな胸から顔を離す。陽奈の目には涙が浮かんでいて、息も大きく乱れている。ぼーっと楓を見つめる顔が、たまらなく可愛い。
すっと楓は位置を下にずれる。
「な、何してるの?」
「もっと気持ちよくしてあげる」
そういうと、楓は陽奈の膝を開いた。
「や、だめ!恥ずかしい、見ないで!」
陽奈は慌てて膝を閉じようとするも、楓の力には敵わず両手で顔を覆い、横を向いて目を逸らした。
(あんなところ、誰にも見せたことないのに…!)
恥ずかしさで死んでしまうかもしれない、と思った瞬間。
「っあぁぁっ!」
衝撃的な快感が陽奈の中を駆けた。
「あぁあ!っ、やあ、あ、あ、あぁ!」
ぢゅっ、とさっきとは比にならないような大きな水音がする。楓は陽奈の秘所に口付けをしていた。小さな花芯は、楓の柔らかな舌で擦られ、吸われる。それが、堪らなく気持ちいい。
「あ、あ、も、むり!やぁっ!」
「無理?なにが無理なの?」
「も、なんか、むり、変に、なる、ぁあ!」
腰が砕けてしまいそうな。自分の体でないような。ふわふわとした強すぎる刺激と高揚感。感じたことのない刺激に、陽奈は限界寸前だった。
「陽奈、いってみようか」
「っあ、え?っあ、」
いくってどこに?と言おうとした瞬間、ちゅうっと強く吸われる。
「あぁあっあ!」
弾けたようにビクビクと陽奈の体が動く。
(…な、に、今の…)
頭が真っ白になって、何も考えられない強烈な快感。まだじんじんとそこが熱を持っているのを感じる。陽奈は切れる息を必死に整える。
「上手にいけたね、陽奈」
にっこりと満足そうに微笑む楓は陽奈にキスを落とす。再びのゆっくりとした気持ちのいいキスに、陽奈もされるがままになる。
「っ、あ、」
「うん、すっごいぬるぬる」
キスを落としながらも、楓の指が陽奈の秘所に触れる。ぬるり、とした感覚が陽奈にも伝わってきて、それが楓の唾液だけではないことを陽奈に伝えた。
「あ、」
「痛い?」
「いたく、ない、」
つぷり、と楓の長い指が陽奈の中に入り込む。
自分の中に、他の誰かがいるというはじめての感覚。
「痛くない?」
「うん、平気」
むしろ、さっきの方が刺激が強かった。入れるのはそんな強い刺激はないのかもしれない。なんて陽奈の考えはすぐに打ち砕かれた。
「じゃ、指を増やすね」
「え」
つぷっともう一本指が増える。途端に増す下腹部の圧迫感。楓は、陽奈の様子を見ながら、指をゆっくりと動かし始める。
「っ、、あ、、ん、」
「痛い?」
「痛くは、な、い」
「でも、まだ気持ちよくはないね」
気持ちよくさせてあげるね、と楓は陽奈にキスを落とした。楓はキスをしながら、左手で陽奈の胸の蕾を、右手で陽奈の中を器用にかき混ぜる。
「んっ、ぅ、あ、っ、やぁ、あぁ!」
楓のキス、胸の刺激、下腹部の圧迫感その全てが陽奈を快楽へと突き落としていく。
そのうち、楓はくっと指を曲げた。
「あああぁ!」
それが、一か所に当たって信じられないような強い快感をもたらす。
「あ、だめ、やぁ、そこ、だめ!」
「ここがいい、の間違いでしょ?」
にやりと笑った楓は容赦なくそこを責め立てた。
陽奈は自分じゃないような声が抑えられずに、なされるがままになる。
そのうち、さっきと同じような強い快感の波が陽奈に襲いかかった。だが、今度はさっきより深くて、落ちそうな感覚が怖い。
「だ、め、怖い、やだ、無理、むり!落ちちゃう、」
「陽奈、大丈夫、俺が抱きしめてるから」
「や、あぁ!」
「ほら、陽奈、いっていいよ」
「あ、ああぁっ!」
がくがくとさっきよりも大きく震える。自分の下腹部が大きく痙攣して、楓の指をより感じるような感覚。それと、どろりと自分の下腹部がぬるつく感覚に襲われた。
「陽奈、すごい。たくさん濡れたね、えらい」
「や、めて…恥ずかしい…」
ちゅ、と楓は陽奈にキスを落とす。
そして、陽奈に覆い被さった。
「本当に、いい?」
「ん、いい、楓と、繋がりたい」
「っ、陽奈、」
噛み付くようにキスをした楓は、陽奈の秘所に熱く激った自身を押し当てる。
「いれるよ」
ぐっと楓が腰を勧めると、先ほどとは比べ物にならないぐらいの圧迫感。
「はっ、あ、」
「陽奈っ、っ、力、抜いて」
言われたように力抜くように意識してみる。涙で霞んだ視界を、ふっとあけて楓を見れば、綺麗な顔を歪めて、眉を寄せて耐えるような表情を浮かべていた。
その表情に、ゾクっとした快感を覚える。もっと、見たい。
「陽奈、」
「ん、」
楓がキスをする。こんなにも、キスってするのだろうか。何もわからない。だけど、嫌じゃない。楓の優しいキスが、もっと欲しいとさえ思う。
キスをしているうちに、楓の腰がゆっくりと動き始める。その振動に、陽奈は再び喘いだ。
最初は少し引き攣るような痛みを感じていたが、だんだんとそれもなくなる。そのうち、奥の方に快感を感じるようになった。
「あ、あっ、ぁ、」
「陽奈は、ここだよね?」
「っあ、あぁ!」
ぐっと腰を持ち上げられて、先ほど指で責められた場所を楓が突いた。強い快感が陽奈を襲う。
「あぁ、でも、こっちも良さそうだったよね?」
ぐんっと勢いよく突かれて、今度は奥に刺激が伝わる。
楓は腰を止めることなく、陽奈を突き続ける。陽奈の表情は蕩けきっていて、目元は涙でぐしゃぐしゃだった。
「あ、もう、だめ、やめて、むり、」
「なんで?いや?」
「も、変になる、から!」
「変になっていいよ?どんな陽奈もすき」
「あっ、あぁ!」
「っ、」
激しさを増す動きに陽奈は耐えきれなくなり、ビクビクと四肢を震わせた。そして、全身の力が抜けて、ふにゃりとしてしまった。楓は陽奈の締め付けと同時に果てた。自分の下で涙に濡れた目を閉じで、くったりとしている陽奈に優しく口付けた。
「やっと、俺のもの」
そう呟くと、楓は口元に笑みを浮かべて陽奈をいっそう抱きしめた。
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