5章 ソウルセイヴァー集結

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 ようやく長い階段を登り終え、建物に入る為の門に近づく。懐から己の顔付きのカードを取り出して門の窪みに当てると重い音を立てながら門が開いた。  三人は門を潜り、本部の建物に向かった。  警備をしている隊員や廊下を歩く者達の視線が飛ばされる。  この守護神に来て、ソウルセイヴァーになってまだひと月も経ってはいないが、組織の人間からはどこか値踏みされるような、警戒されるような視線がちらほら飛んでくる。  まるで異端なものを見る様な、そんな目つき。  それもそうだろう。白雪、奏夜、辰、この三人で組まれたチームは全員ソウルセイヴァーになりたての新人(辰に関してはソウルセイヴァーではなく魔力保持者〈ホルダー〉だ。)なのだ。普通、新人同士で組まされることはないし、こうしてすぐに任務につくのもあり得ないらしい。  白雪と辰に関しては入ってすぐに本部に現れたS-iとの戦闘を、ほとんどの人間に見られている。普通のソウルセイヴァーとはかけ離れたその能力や戦い方に、どこか訝しむような、畏れるような目を向ける。  中には、白雪が来てから不可解なことばかり起こることから、実は白雪がS-iを本部に招き入れた黒幕ではないかなんて密かに囁かれているのも知っている(浮世離れした見た目も相まって、近付かれにくい)。  別に弁解したいわけでもないし、言わせたいやつには言わせておけと相手にはしないのだが、辰が聞いてしまった時の暴れっぷりは止めるのに少々骨が折れた為勘弁して欲しくはある。  そんなこんなで、白雪を筆頭になんだか孤立しているのが現状だ。  ただし奏夜に関しては、お得意の人心掌握で早くも意外と組織に馴染んでいたりする(特に女性にはウケがよろしいことで)。そこだけは密かに感心している(羨ましいわけでは決して無い)。  先に打木に報告と思ったが、どうやらまだ会議をしている様なので(廊下を歩いていた研究班の人がぎこちなく教えてくれた)、とりあえずそれぞれが自室に荷物を置き、埃に塗れた汚れを落とす為にサクッとシャワーを浴びる。着ていた服を洗濯機に放り込み、黒いハイネックのタンクトップにダボっとしたクリーム色のカーディガンを羽織って、予備のショートパンツを履き、部屋を出る。  同じくシャワーを浴びて着替えた奏夜と辰と部屋の前で合流し、白雪の忙しなく鳴る腹を満たす為に食堂に向かった。  
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