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「ララ!?」  突然膝をついて口から血を吐き出したララに翠が驚愕する。  ララだけだけではない。  北以外の様子がおかしい。  連合軍も侵略軍も北の同盟軍も  皆ララの様に吐血して膝をつき倒れていく。  これはもしや······ 「集団食中毒?」  いや、違ぇ。 「どうせ私に黙って皆して鍋パでもしたかなんかでバチが当たったんだろ?」  だから違ぇって。  いや、それより何でお前平気なんだよ?  ララは念話で「呪毒だ」と、翠に伝える。 「·······何で私にはノーダメージなのさ?」  (いや、こっちが聞きてぇよ!!)  父親である水神ですら呪毒にやられたのに何故翠に効かないのか。  それとも鬼神の方と何か関係あるのだろうか? 「····ぅわ、引く」  闇神までも驚愕通り越してドン引き。 「呪毒ばら蒔いた本人にだけは一番言われたくねぇよ!!」  キャンキャン吠える翠を他所にララ達の神力が段々と低下している。  悪神さえも呪毒によって苦しんでいる。  きっと呪毒を気化させる事で空中に漂わせて無意識のうちに全員に吸わせたのだろつ。  ところでだ。  何故北の連中はこの大規模の呪毒をばら蒔いているというのに平気なのだろうか。 「黄蘭撫子」  唯一咲いている北の最北部に位置する山にのみ咲く花。  それを全て摘み取って薬を作り出し北の兵全員に配っていた。 「········やっぱりテメェら準備してたわけか····」 「も?」  ララの言葉はどういう意味かと疑問に持つ。  ---パキッとララの口の中で何かが割れる音が鳴る。  その瞬間にその意味が直ぐにわかった。 「····風美か」 「·····へぇ····一端の兵の名前をよく覚えていたな」  黄蘭撫子から生まれた妖から神格化した花神。  北は後天性の神人を差別的に見る思考にあるが、妖から神格化した者は君主から名を授けてもらう決まりがある。  そして、後天的だからこそ優秀な神人が多い者も多いのが確かであり風美の植物の薬は確かに優秀だった。  だから、火ノ神への治療役として抜擢した事もある。  その後は青嵐の侍女になったが「何か弱そう」だからと言う理由で勝手に名前を変えられたと聞いた時は少しだけ同情したものだ。  錦にしっぽ切りにされララに拾われた事で南の為に命を捧げたようだ。  錦の風美への警戒は間違いではなかったということがまさかここで証明されるとは思わなかった。  奪われていく神力が止まり余った神力で巻き戻しを始めたララは全て程とは言わないがある程度の己の軍を回復させて行った。  自分自身の神力は戻さずにだ。  己だけを巻き戻せば完全に回復出来ただろうにそれをしなかったのは何故か。 「この戦の大将が俺じゃねぇって事だ」  自分が死んでもそいつさえ護るものがいれば負ける事はないからと確信しているからだった。
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