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「そいつの為にも負ける訳にはいかねぇ」
凱楽と共に斬火に挑む焔の神力が上がる。
命を自分達に明け渡した風美の為にも。
花火との約束の為にも。
負ける訳にはいかないんだ。
「っ!」
焔の尻尾から放たれた無数の赤い火の玉が焔を囲むようにして飛び周り狙いを定めた後、斬火に向かって飛んでいく。
その技を見た近くに居た西の焔の家臣、南の磐軍の凱楽の部下達が一瞬にして結界を張った。
飛んでいた火の玉達は近付くにつれ巨大化していく。
それを斬火が刀で一刀両断しようとした時だ。
その火の玉達が突如として爆発した。
爆発の威力は激しく爆風により周りにいた第一部隊が巻き込まれる。
「この威力なら····」
爆発の黒煙で周りが見えないがいくら北の総隊長でも零距離で爆発に巻き込まれれば肉片になっていても仕方ない。
しかしだ。
「!!?」
黒煙の中から刀を構えたまま斬火が焔に向かってきた。
火傷なんて全く負っている様子もなく、背中の羽から熱を作り出し速さを作り出した。
その速さは音速に近い。
焔も己の刀で立ち向かい刀で応戦。
刀同士がぶつかりあった瞬間に火花が飛び散り爆発した。
「っあ゛!!」
己も炎使いのはずなのに斬火の火は己の比ではないと実感させられるほど熱い。
全身が焼ける。
「焔ァ!!」
グッと襟首を凱楽に掴まれ後ろに引っ張られる。
そして斬火との鍔迫り合いは凱楽が代わりに受け持った。
「?!」
凱の刀からの石化により斬火の刀が斬れることのない石に変わっていく。
しかし、その熱は更に上がりその石が赤くなり溶けだした。
燃えるような熱が凱楽の肌を焼いていく。
凱楽は今度は地割れた地面を操り、土を次々と勢いをつけて被せてきた。
それをまた石化をして斬火の刀が歪り変形していく。
「これじゃあ斬ることはできねぇなぁ」
「あぁ、そうだな」
「なら殴る」と、斬火は刀とは呼べなくなったその武器で凱楽の顔面を殴りつけ吹っ飛ばした。
さながら翠の石棒で殴り飛ばされたかのような感覚を思い出したのは言うまでもないだろう。
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