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そんな父親なんかよりもだ。
「白雪返せこの野郎」
元よりその様な名前の娘は北には居ない。
「いや、居るだろ?」
雪のように真っ白で誰よりも真っ直ぐな性格の娘が。
しかし、他人から勝手に名付けられた名前なんて父である闇神からすれば認められないだろう。
ふざけるなと、翠が刀を召喚し闇神に向かって刀を振り下ろすが、それを受け止められた。
水使いだけでなく鬼神の血が流れる翠の怪力は確かなものだろう。
小娘にしては力が強い。
「自分が付けなかった所為だろ?!」
おかげで愛されていないと幼い頃の娘の心に傷がついた。
「愛姫とか人に「人」って呼んでるようなもんじゃねぇか!!」
馬鹿にしているのかと、翠は闇神に叫ぶ。
何が探し続けた娘だ。
一番大事だと言うのなら名前を付けるのが親の役目だろう。
それすらしなかったのなら初めから「お前は父親失格だ」と、闇神に言い放った。
「っ!」
翠の言葉が響いているのかいないのかは分からないが闇神の無表情が少しだけ歪んだのが見える。
しかし、次の瞬間·······
「ぅおっ!!」
ドンッと現れた無数の手の影達が翠に向かって飛びかかる。
それを避けるべく、翠は武器を変換させて鬼神の砲槍に切り替え闇神に向かって至近距離から砲撃した。
完全なる直撃をかました事により砲撃を喰らった闇神とて無事ではすまないはずだ。
しかし·····
「·········簡単にはやられてくれないよねぇ?」
空間に出来た大きな渦により砲撃は吸い込まれて、目の前の男は無傷だった。
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