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ララが凱楽二号機で遊んでいる間、翠は影の手から逃れながら雷を操り闇神との戦闘を再開して刀を使って斬りかかった。
ふいっと身体を横に向けて翠の攻撃を避けた闇神は翠の背中に刀を下ろす。
---ガキィンと、金属同士の様な音が響く。
素早く身体を捻ってギリギリで振り下ろされた刀を受け止めた。
一度敵から距離を置く為に後ろに飛んだ翠は地面の着地と同時に蹴りあげ再び闇神の元へと光速を使って飛んだ。
「さっさと白雪返しやがれ!」
だから、端からその様な名の娘はいない。
その名前の主が己の娘だとしてもだ。
「蚕蛾で充分だろ」
「おまっ····!だから娘に嫌われるんだよ!!」
己の娘に未来の下界の昆虫の種名を名前にする親が何処にいる。ここにいた。
「····自分は--って名前貰ってるくせに」
翠の言葉に耳がピクリと反応した。
それを見逃さなかった翠が攻撃を止めないまま闇神に問うた。
「親父の愚痴日記の中で唯一そいつの名前だけ悪口が書かれていなかった」
水神が日記を書いていたなんて闇神には初耳だ。
日々の激務の合間に書かれた予定表にその名前の者が時折書かれていた。
刀が闇神に届かず、向かってくる影を避けて闇神から離れた地面に立って翠が真っ直ぐの眼で聞く。
「·······【紅葉】。····それってアンタの名前だよね?」
「·············」
いつぶりにその名前を呼ばれただろう。
もう、その名を呼ぶ者は何処にも居なくなったと思っていた。
「親父とアンタが仲違いした理由はなんだったわけ?」
日記には
---紅葉の奴。何であんな質問したのだろうか?連日寝不足でまともな返事出来なかったじゃねぇか。まぁ、今度会った時にでも返事返すか
と、記されていた。
娘である翠からその内容を聞いた闇神·····紅葉は目を見開く。
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